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教科書から見る対日認識

アジア地域において、地域の平和と繁栄に向けた日本の積極的貢献については、ほぼ合意 がすでに形成されている。とくに1997 年後半に発生したアジア通貨・金融危機の克朋過程 を通じて、…

アジア地域において、地域の平和と繁栄に向けた日本の積極的貢献については、ほぼ合意
がすでに形成されている。とくに1997 年後半に発生したアジア通貨・金融危機の克朋過程
を通じて、こうした合意が確認されるとともに、期待も大きくなっている。
しかしながら、1930 年代から40 年代に日本が行った侵略に関する記憶は半世紀以上がす
ぎたにもかかわらず、アジアの人々のなかになお残ったままである。こうした“歴史問題”
は感情面にとどまらず、地域の政治や安全保障の領域にまでなお影響を与える可能性がな
いわけではない。21 世紀は世界各国が協調し、共に発展する時代となるべきである。その
ためには、アジア地域においても、各国・国民間の相互理解が重要な課題になってくる。
そのとき、日本にとって、アジア諸国との相互理解に向けた重要な出発点の一つはアジア
諸国の側の対日歴史認識を充分に理解することにある。
しかし、アジアといっても、アジア地域は多様である。対日歴史認識についても、国や
地域によって同じではない。たとえば朝鮮半島とともに、日本にとって相互理解が極めて
重要な隣接する北東アジア地域を構成する中国についてもそういえる。中国側が「一つの
中国」と主張する台湾海峡を挟む両岸(中国大陸と台湾)において、対日認識の相違は顕
著である。
一方で、中国(中国大陸)側では、1998 年11 月に来日した江沢民国家主席による「歴史」
への執拗な言及にみられたように、日本による対中侵略という過去の歴史を忘れないとす
る姿勢が顕著である 1。江沢民主席の訪日後、歴史認識に対する強い姿勢は江主席特有のも
のだとも指摘された。しかし、1999 年9 月に公表された読売新聞社とギャラップ社が実施
した「日中共同世論調査」によれば、「日本と聞いて真っ先に何を思い浮かべるか」との質
問に対して、「侵略戦争・抗日戦争」との回答が39%でトップとなり、「発達した経済」と
の回答が12%でこれに続いた。そして「侵略者・好戦的国家」が6%、「南京大虐殺」が4%、
「凶暴・残虐・野蛮・人間性なし」が3%の回答など、戦争と関連したイメージが上位を占
めたのである2。この調査結果だけですべてを語ることはできないが、尐なくとも、中国で
は国家を代表する江沢民主席だけでなく、一般国民の間にも「歴史問題」への拘りがある
ということだけはいえそうである。
他方で、台湾では、政府から国民レベルにいたるまで、過去の日本による植民統治に対
する批判がないわけではないが、評価する声さえも多く聞かれる。例えば、台湾で初めて
住民により直接選出された李登輝総統(当時)は「植民地時代に日本が残したものは大き
い。批判する一方で、もっと科学的な観点から評価しなければ、歴史を理解することはでき
ない」3と述べており、中国大陸の指導者と違う歴史認識を持っているのは明らかである。
台湾は中国大陸と同じく戦争中に被害を受け、しかも1895 年から50 年間にわたる日本の
植民地支配を受けてきたにもかかわらず、全体的に見れば、中国側よりも柔軟な対日認識を
もっているように思われる。
その要因と背景は様々である。たとえば台湾海峡を挟む中台両岸の政治制度の違いもその
一つであろう。また政治だけでなく、内戦に敗北した国民党政権(中華民国)が台湾に撤退
し、大陸に中華人民共和国が建国された1949 年以来、50 年以上にわたって台湾海峡を挟
んで両岸が分離した状況の中で、台湾で形成された経済や社会、文化や人々の意識も相違
をもたらした要因の一つであろう。
台湾海峡を挟む両岸4の人々の対日認識は戦後50 年間にいかに形成され、いかに相違が醸
成されてきたのか。この問題を考察するために、本稿では、この問題を考察するために、両
岸(中国大陸と台湾)の小、中、高学校の教科書に注目し、教科書に記述された日本問題
を比較検討する。比較検討の作業の中で、両岸の対日認識と政府の対日政策との相関関係
についても分析を試みたい。
日本が今後アジア諸国との関係を深めていこうとするとき、日本自身がかかわった歴史
問題に真摯に対応しなければならない。日本がアジア諸国との間で、歴史問題について共
通する認識を確立することは極めて難しいかもしれない。歴史認識は、それぞれの国独自
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の歴史、文化や価値観によって形成されているからだ。アジア地域でも、歴史認識は一様
ではない。しかし、尐なくともそれぞれが抱く歴史認識、とくに歴史にかかわる対日認識
の違いを理解し、違いが由来する要因と背景を理解しておくことは重要である。「一つの中
国」といわれながら、中国と台湾が対日歴史認識について共通性とともに相違性があり、
それを確認しておくことは今後の日本の中台関係を考える手がかりを与えてくれるはずで
ある。
これまでの中国の教科書について、段瑞聡5、並木頼寿6や蕭勝文7などの研究がある。台湾
の教科書と日台関係の関連性を研究して、注目されるのは平松茂雄らの業績8である 。平松
氏の研究は90 年代末に台湾で現れた日本植民統治に対する肯定的な評価を注目し、『認識
台湾』の教科書に現れた対日認識の変化を強調した。例えば、「日本語は台湾人にとって、
近代化された知識を吸収する主要な手段となり、台湾社会の近代化を促進した」と述べる
ように日本の植民統治を評価する部分を強調する形で、今の台湾の教科書に現れている日
本像はきわめて良いという印象を与えている。
また、2001 年の教科書問題は日中韓の間に論争が開始後、産経新聞社の前中国総局長の
古森義久氏による中国の教科書の対日記述についての分析報道は注目される9。古森氏は教
科書の時代性などを重視し、小、中、高等学校の教科書から中国の教科書に書かれた日本
像を分析しているものの、近代日本の中国侵略の部分しか言及せず、中国の教科書に戦争
中の残酷な日本しか記述されていないという印象を与えている。
以上の研究には、いずれについても優れた知見がみられる。しかしながら、中国と台湾
の一時期あるいは小、中、高校の一部の教科書のみを分析対象にし、中国と台湾の教科書
の中で日本の全体像を捉えているとはいいがたい。そこで、本研究は、中国における内戦
が事実上終了した1949 年から2001 年までの50 年余における中国と台湾の小、中、高校
の歴史教科書を中心として他の科目も含めた教科書について日本に関連した記述内容を包
括的に比較検討する10。研究手順として、両岸の教科書の対日記述を項目別に統計し、時代
の変化によっての総合的な変化を探る。また、対日記述の態度の変化を対日記述の項目に
分類しながら、種類別の変化を全体的な変化に取り込んで、50 年余りの対日記述の変化と
不変の両面を分析する。最後に、データー分析にもとづき、事例研究を通じて、中国と台
湾の教科書の対日記述と対日政策の異同を分析するのである。
1949 年10 月1 日に中華人民共和国が成立して以後、中国では全国統一の教科書制
度が敶かれてきた。国家教育委員会(現在の教育部)11が制定した『教学大綱』12に基づい
て、教科書はこの委員会直属の下部機構である人民教育出版社によって編纂・出版されて
きた。49 年から51 年までは、革命根拠地13での経験を取り入れながらも、1949 年以前の
中華民国時期の教育システムが基本的に維持されていた。またこの時期には、12 年制の小
中学校の各科目の教科書が編纂された。その後も計8 回「教学大綱」が改訂され、教科書
も改版された。60年からは10年制の小中学制と12 年制の小中学制を並存することになり、
60 年から61 年までに前者に向けた新教科書が編集された。66 年から76 年までの文化大革
命時期には平常の学校教育が破壊され、教科書は各省、各地域各自に編集されるようにな
り、人民教育出版社が独自に教科書を編集することはほとんどなかった。78 年には10 年制
の小中学校「教学大綱」の発布にともなって、各科目の教科書が新しく編集され、全国に
配布された。そして80 年代初期から80 年代半ばにかけて10 年制と12 年制が並存した。
1988 年末に義務教育段階の小学校・中学校の『教学大綱(初審稿)』が発表されたことを
機に、教科書制度は従来の国定制から検定制に変わった14。人民教育出版社以外の部門(特
に各省の教育委員会)が、国家教育委員会策定の「教学大綱」を逸脱しないという条件も
下ではあったが、独自に教科書を編纂することも多くなった。ただし編纂された教科書は、
必ず国家教育委員会或いは各省の教育委員会に直属する部門の中小学教材審定委員の審査
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を受けなければならなかった。とくに、大学入試は基本的に国家教育委員会が試験問題を
作成する全国統一試験であり、したがって大部分の学校は主要科目において人民教育出版
社が編集する教科書を採用してきた。入学試験は教科書に多く依拠していることから、学
校教育においては教科書学習が中心になっている。
中国の学校教育では、「徳育教育」が重要な地位に置かれている。小中学校徳育教育の基
本任務は、学生を「社会主義祖国を愛する」、「社会公共道徳」「文明行動の習慣」「紀律と
法律を守る」公民に育てることにあるとされてきたのである。「徳育教育」の形式と方式は
小学思想品徳科目、中学、高校の思想政治科目及び各科目の教育と他の校内校外教育の形
で行われる15。歴史教育にも「徳育教育」の精神が含まれており、歴史科だけではなく、社
会、国語、思想品徳、政治などの科目にも含まれている。
こうした状況を踏まえて、中国側の教科書分析では中国政府の政策を重視し、1949 年か
ら現在までの各版の人民教育出版社で編集・出版された小学校、中学校、高校の『歴史』16、
『社会』17、『国語』、『政治』の各科目の教科書を対象とする。
1949 年に中華民国政府が台湾に撤退してから暫くは、引き続き1948 年に定められた全
国各省共通の小学校、中学校、高校の『課程標準』にもとづいて編集された教科書が使用
された。また「共産党に反対し、ロシアに反抗」するという基本的な国策に従い、1952 年
に小学の『国語』と『社会』の両科目と中学と高校の『歴史』、『国語』、『公民』と『地理』
の四科目について、『課程標準』を修訂した。その後、2001 年までに『国民小学課程標準』
は62 年、68 年、75 年、95 年、2001 年と計5 回改訂され18、『国民中学課程標準』は55
年、62 年、68 年、72 年、83 年、85 年、94 年、2001 年と計8 回改訂され19、『高級中学課
程標準』は55 年、62 年、64 年、71 年、83 年、95 年と計6 回改訂された20。国立編訳館
は以上の『課程標準』にもとづいて教科書を編集したが、注目すべきは同じ『課程標準』
にもとづいて編纂されてはいても,教科書には違いが見られることである。
台湾では1968 年に6 年間の義務教育制度が9 年間に変わり、68 年に小学校と中学校だ
けについては9 年義務教育の方針にしたがって『課程標準』を新しく策定し、教科書につ
いても編集しなおした。小学と中学では現在まで全国統一の国定教科書制度を維持されて
いるが、高校についは99 年の統一教科書の「統編制度」から自由編集を許される「審定制
度」に変更された21。しかしながら、台湾でも中国と同じく大学入試は統一試験のため、国
立編訳館が編集した教科書が採用されるケースが多い。
大多数の『課程標準』には、「民族精神教育を強化する」という項目が『公民』、『国語』、
『歴史』、『社会』、『地理』、『音楽』や『美術』など、文科系授業の特色の部分に盛り込ま
れた。「民族精神教育を強化する」とは、「教育を通して学生が国家を愛し、同胞を愛し、
皆と仲良くでき、責任感を持ち、紀律を守り、中華民族道徳文化を表現し、立派な中国人
に成長させること」である22。歴史教育の主題は、「国家を愛する、民族を愛する思想を強
化すること」である23。この「民族精神教育」は『歴史』、『国語』や『社会』など文科系の
授業にみられ,外国に対する認識においてもみられている。
そこで、台湾側の教科書分析では、1949 年から現在まで国立編訳館によって編集・出版
された小学、中学や高校の『歴史』24、『社会』25と『国語』の教科書を対象とする。
中国と日本は近くて、遠い国と言われる。そう言われる要因の一つが50 年前の戦争がも
たらした影の部分である。中国人は歴史問題に拘っていると言われることが多い。それで
は、中国の共産党政府は、如何なる方針の下で学生に対して日本を教えているのか。中国
人の日本認識の基礎は、どうなっているのか。時代によって変化があるのか、あるとすれ
ばどのような内容であるのか。本章では、歴史教科書を中心に、中国の小、中、高等学校
の国定教科書にみられる対日認識について検討する。
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中華人民共和国の建国直後には、中国では全国統一の教科書制度が敶かれた。しかし、
共産党にとって全国統治の経験は初めてであり、全国で通用する教科書がないため、当初
は中華民国時代の教材を継続して使用したほか、共産党の根拠地で使われた教科書の経験
を用いて民国の教科書を修正して使用した。
それと同時に、新中国の教育方針に沿う教科書の作成も開始した。1950 年から51 年に
は、初めての『教学大綱』が作成された。そして50 年から53 年にかけて、小、中、高校
の教科書が編纂された。この時期は中国が「ソ連に学ぶ」時期であり、教科書にもこの傾
向が見られた26。例えば、第2 次世界大戦末のソ連による対日参戦について、小学校と中学
校の教科書27ともにソ連の対日参戦は中国に対する偉大な援助という形で紹介された。

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作者: 中国论文网

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