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「古譚」から近代人物語への転換 –中島敦「山月記」論

要 旨 中島敦には「古譚」と総題を付けられ、古代の物語を取材した短編小説があり、それは「文字禍」、「木乃伊」、「狐憑」、「山月記」の四篇である。これら四篇の中では、特に「山月記」は…

要 旨

中島敦には「古譚」と総題を付けられ、古代の物語を取材した短編小説があり、それは「文字禍」、「木乃伊」、「狐憑」、「山月記」の四篇である。これら四篇の中では、特に「山月記」は長く日本の高校国語教材の古典として教科書に採用されてきて、日本の文学史上でも非常に重要な位置を占める作品である。
本論文では、原典素材『人虎伝』との比較、中島文学に一貫して流れるテーマとの関連、『古譚』諸作品との関わり、という三つの視角を通して、『山月記』の主題、特に主人公李徴が何故虎に変身したのかについて検討してみた。そして、以下の結論が出た。
『山月記』の作者中島敦は、『人虎伝』の枠組み――「虎になった人間の話」の中に、詩人としての李徴像をまず持ち込み、さらに、そこに中島敦の生きていた時代の地平や関心であった存在論、芸術と実生活の差異、自我性情の問題などを持ち込むことで、原典素材を変容している。この変容、あるいは転換の論理としての人間存在への懐疑、詩人の芸術と実生活の背反、あるいは自我の性情という精神の病理が貫徹されることで、『人虎伝』の枠組み――「虎になった人間の話」が生かされ、近代人的な物語として、『山月記』は蘇ったのである。

キーワード:山月記 人虎伝 近代人 転換 対照研究

目 次

第1章 はじめに 1
第2章 先行研究 2
第3章 『人虎伝』との比較 4
3.1 『人虎伝』のあらすじ 4
3.2 六つの相違点 5
3.2.1 李徴の性格と周辺の人物の変更 7
3.2.2 袁傪への依頼の順序変更 7
3.2.3 後日談の削除 8
3.2.4 李徴に詩人としての執念を与えたこと 9
第4章 変身の原因 10
4.1 原典素材からの創造的付加 10
4.2 『山月記』の序章 ――中島敦の共感と「二つの挫折」 11
4.3 変身の原因 ――人間存在への懐疑 15
4.4 変身の原因 ――「臆病な自尊心、尊大な羞恥心」 17
4.5 変身の原因 ――自我批判 21
第5章 むすび 25
謝 辞 27
参考文献 29

 

 

 

「古譚」から近代人物語への転換 –中島敦「山月記」論

第1章 はじめに

『山月記』(一九四二.二『文学界』)は『こころ』、『羅生門』などと共に長く日本の高校国語教材の古典として教科書に採用されてきて、日本の文学史上でも非常に重要な位置を占める作品であり、これまで多数の論者によって考察されてきた。その中で、原典素材の中国伝奇『人虎伝』との比較に立って、その『山月記』への変容の中に、中島文学の特性を捕捉しようという方法論に立って研究されたことも少なくない。そして、この方法は確かに『山月記』の場合、分析の方法として、かなり有効であると考えられる。それをちょっと詳しく説明してみれば、つぎのようなことになる。
『人虎伝』という原典素材があるということは、『山月記』の基礎的構造が明らかになるということであった。つまり『人虎伝』からそのまま採用された要素、変更を加えられて採用された要素、捨棄された要素、そして、作者がまったく新しく創造した要素などが判明することができると同時に、それらの要素がどのように構成され、『山月記』一篇を組み立てているかが一望の下に見渡せることになるからである。となれば、そうした選択と変更と創造的付加との様相、並びにその組み立てを透視することによって、作家のモチーフはかなり容易に明らめ得ることになるであろう。
本篇の立場としては、これまでの研究成果を踏まえることは勿論のことながら、『山月記』と『人虎伝』との比較を通して、李徴が虎に変身した深層的な原因を論じることで、自我存在の喪失などという近代人の物語によくある問題に中心を置きたい。その際、一、原典素材『人虎伝』との比較、二、中島文学に一貫して流れるテーマとの関連、三、『古譚』諸作品との関わり、という三つの視点をあわせて検討してみたい。

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作者: 中国论文网

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