レポート－気温上昇

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気候変動枠組み条約によって、2015年12月に採択されたパリ協定では、「産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えることをめざし、1.5℃未満も努力する」ことが目的とされている。産業革命の時代の気温をその後の気温上昇の基準としているのは何故か、以下の5つのキーワードをすべて用いて論じなさい。なお、キーワードを最初に用いたところにはアンダーラインをしなさい。

キーワード：　人口、化石燃料、スモッグ、二酸化炭素濃度、大量生産・大量消費

18世紀から19世紀にかけて、イギリスにおいて工場制機械工業の導入による産業の変革が起った。その後、産業革命が西ヨーロッパ各国、アメリカ、日本まで波及し、数多くの国において生産方式と社会構造の変革を引き起した。機械工業の発展は、生産効率を引上げたため、人類社会の農業社会から大量生産・大量消費の工業社会への移転、人口の増大及び都市への人口集中といった結果をもたらした。同時に、化石燃料の大量消費は、深刻な環境問題ももたらした。例えば、産業革命発祥の地、19世紀後半以降、イギリス各地でスモッグ（smog: smoke + fog）が発生した。これは、石炭を燃やした際に出る煙の微粒子と自然に発生する霧が混じったものが滞留し、呼吸器疾患などの健康被害を指す。

産業革命後の二百年数十年間に、技術の進歩にしたがって、酸性雨、光化学スモッグ、水質汚染、オゾンホール、放射能汚染といった多種多様の公害が発生した。これは、人間の健康のみならず、森林、土壌、海洋、ほかの生物によって構成された地球生態の存続も脅かしている深刻な課題になった。その中に、地球温暖化がよく提起されている。IPCC（気候変動に関する政府間パネル）の2013年9月に発表した第5次評価報告書（AR5）によれば、1880年から2012年までの間に世界の平均気温が0.85℃上昇した。

地球温暖化が発生した原因といえば、化石燃料の大量消費と森林破壊によってもたらされた二酸化炭素を初めとする温室効果ガスの増加である。地球温暖化のメカニズムについては、次のとおりにもっと詳しく説明できる。物体は、その温度が高いほどたくさんのエネルギーを赤外線として放出する。地球は太陽からエネルギーをうけとると同時にエネルギーの赤外線を宇宙に放出している。現実の地球の大気には温室効果があるため、地表から放出された赤外線の一部が大気によって吸収されるが、再び地表にむけて赤外線が放出されている。二酸化炭素は、赤外線を吸収・放出する特性があるため、大気の中に二酸化炭素濃度が上昇すれば、大気はもっとより多くの赤外線、つまりエネルギーを吸収して、またそのうちの一部を地表に放出するようになる。結局、地表の温度が高まりつつある。

IPCC　AR5によれば、1986年～2005年を基準として、2081～2100年における世界平均地上気温の変化が最悪のシナリオでは8.5℃上昇、最良のシナリオでは2.6℃上昇と予測された。

気温の上昇は、海洋の水温上昇と造礁サンゴの白化現象、氷床・氷河の減少、降水量の増加、猛暑日の増加にもつながるとされている。そのため、国際社会は、温暖化の対応に取り組んできている。例えば、1997年12月11日京都市で開催されたCOP3においては、『京都議定書』が議決された。先進国における温室効果ガスの削減率を各国別に定め、共同で約束期間内（2008～2012年）に目標値を達成することが定められた。

京都議定書体制以降、2015年12月12日に196の国と地域が参加したCOP21で『パリ協定』が採択され、新しい枠組みができた。パリ協定では、「産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えることをめざし、1.5℃未満も努力する」ことが目的とされている。地球温暖化は、産業革命後に人為的な二酸化炭素の排出増加によってもたらされたものである。したがって、これから人為起源の二酸化炭素排出量を着実的に削減し、排出と吸収源による除去の均衡を達成できる場合では、2℃未満の目標が実現できると予想されている。

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