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1990年代の「晩婚」言説に内包されたジェンダー意識

はじめに 2000 年代以降、日本では「少子化」という言葉がよく聞かれる。少子化問題は日本の 重大な問題として海外でも知られている。そして日本では1990 年代後半以降、少子化 に…

はじめに
2000 年代以降、日本では「少子化」という言葉がよく聞かれる。少子化問題は日本の
重大な問題として海外でも知られている。そして日本では1990 年代後半以降、少子化
についての研究が蓄積されてきた。その結果を管見する限りもっとも顕著な、そして
人々に受け入れた原因が「晩婚化」である。
しかし、「晩婚」を単なる個人のライフスタイルとして捉えるのなら、この現象が社
会問題にはならないだろう。では、社会問題としての「晩婚化」のどこに焦点が当たっ
ているのか。そしてそれに対して、社会あるいは大衆がどう認識しているのかを明らか
にすることが重要である。なぜかといえば、人々の意識が社会世論に大きな影響を与え
ているからである。社会心理学や情報メディア論、大衆社会論等でこのような世論と意
識との連関が仮説されてきたことからも説明可能である。「沈黙の螺旋」理論というマ
スコミュニケーション研究における仮説がその一例となる。このモデルを提唱したエリ
ザベート・ノエル=ノイマン(1980)によれば、孤立への恐怖が「沈黙の螺旋」を始動
させる動力である。人は公的場面で、自分の支持する意見が支配的な意見だ、あるいは
支持が増大中の意見だと認知すれば、自分の意見を口に出して周りの人々の支持を得た
がる。それに対して、自分の意見が少数派ならば、人々は、公的場面では沈黙を保ちた
がることになる。そして、雄弁は沈黙を生み、沈黙は雄弁を生むという螺旋状の自己増
幅プロセスの中で、最後に一方の意見だけが公的場面で支配的となり、他方の支持者は
沈黙して、公的場面から消えてしまうのである。このように多数派意見支持の方向へ「沈
黙の螺旋」現象が生じ、少数の人の意見が多数の人に支配されることになるという。意
見が正しいかどうかはともかく、意見の事実上の分布、「意見の風土」についての印象
は、ますます支配的な意見へと歪められることになる。さらに、支配的な意見を持って
いる多数派の声の増大と、少数派の沈黙を促すことによって、世論を操縦することがで
きるといえる。これについて是永論(1999)がインターネットで流れている情報がその
ままにネット内だけを経由するのではなく、ネット外の世界と相互作用していることを
指摘した。つまり個人の意識でも社会に影響を及ぼす。そうであるならば、「晩婚化」
という社会問題を読み解くために、「晩婚」がどのように社会に捉えられているのかを
明らかにすることに一定の意義は見出せる。
鈴木万希枝(2017)によれば、ニュースには社会における環境監視機能、世論喚起・
形成の機能、教育と社会化の機能がある。新聞記事はそのような機能を持つニュースの
一種として、世論喚起し、形成する機能をもっている。鈴木は、社会の出来事が記事と
なり、世間に対してどのように報道されるか、各ニュースが持つ様々な要素が、世論の
あり方に影響を及ぼすことを指摘している。さらに、ニュースは人に様々のことを教え、
行動指針を与える動きをする。そして記事の報道を通して、社会成員として「適切な」
振る舞いをするために必要な社会規範や価値などを身につける社会化の過程も深く関
わっているのであることも指摘した。したがって、社会問題が発生した初期の社会のあ
2
りようを明瞭にするために、当時の社会を客観的に記録している新聞記事の言説を通し
てアプローチするのは有効な方法であると考える。
本稿では「晩婚」が問題化された初期の言説をベースにして、「晩婚」という言葉を
社会がどのように捉えてきたのかという視点からを探究する。さらに問題化された「晩
婚」の裏に、いかなる社会構造が存在しているのか探究してきたい。
本研究では研究手法として言説分析を用いる。その際、後述するように、1990 年代の
朝日新聞における「晩婚」をキーワードに据えて分析を行う。第一章では本研究の問題
背景として、現代日本の少子化と晩婚化の現状について概観し、少子化と晩婚化につい
て先行する議論を紹介していこう。次に、本研究で用いる研究手法を説明する。その手
法とは、社会問題構築主義の立場から言説を扱い、日本社会の少子化に関わる様相を記
述しようとするものである。具体的には、朝日新聞記事の「晩婚」に関する記事を概観
した上で、分析への足掛かりを得ることにしたい。第二章では、分類した各項目の言説
について言説の特徴のある記事の事例を挙げ、それぞれの特徴を分析していく。
最後に、各章の分析を通して見られた1990 年代の言説から日本社会のジェンダー的
構成について考察してみたい。
3
第一章 晩婚化している日本
1-1.問題の背景
平成29 年の「総務省人口推計」によれば、2017 年日本の総人口は1 億2,670 万人で
ある(総務省,2017)。また日本の人口は長期の人口減少過程に突入しており、2060 年に
は8,674 万人になると推計されている(内閣府,2016)。このような人口減少は人口の流
出という社会減ではなく、自然減つまり少子化に由来するものである。
日本の合計特殊出生率は1991 年以降、増加と減少を繰り返しながら緩やかな減少傾
向を示している。2005 年に 1.26 となり、その後、横ばいもしくは微増傾向となってい
るが、2016 年も 1.44 と依然として低い水準にあり、人口減少の根本的な原因となる日
本社会の長期的な少子化は年々進んでいるといえる(厚生労働省,2017)。
子供を持つことについて現代日本社会にどのような困難があるのだろうか。またなぜ
少子化が進むのか。日本社会はどのように認識しているのだろうか。そのうちの一つに
家族の規範意識をあげることができる。
内閣府の「少子化社会に関する国際意識調査報告書」によれば、日本とアメリカの家
族規範意識が異なっている(図1)。未婚のカップルが子どもを持つことについて、ア
メリカ人では「全く抵抗がない」と答えたものが 35.6%であり、抵抗感をもたないとい
う層が54.7%を占めた。日本人の 4 割が「少し抵抗がある」と答えており、抵抗感を
持っている層が57.5%を占めた。ここから、アメリカの多数派は、結婚という形をとら
ずに子どもを持つことに対して抵抗感をもっていないことが分かる。一方で、日本では
多数の人が抵抗を感じることが分かる(内閣府,2006)。
出典:少子化社会に関する国際意識調査報告書より筆者作成
図1 未婚のカップルが子どもを持つことについて
1.4
17.4
40.1
25.3
15.8
2.2
18.7
24.4
19.1
35.6
0 20 40 60 80 100
わからない
抵抗感が大いにある
抵抗感が少しある
抵抗感があまりない
抵抗感が全くない

アメリカ日本
4
また、「未婚のカップルが子どもを持つことへの社会的偏見」についても、日本では
結婚していないカップルが子どもを持つことへの社会的な差別や偏見があるという結
果が見わかる(図2)。日本は「ややあると思う」という回答が25.5%あり、「非常にあ
ると思う」のは38.4%もあり、合わせると約 6 割に社会的な偏見がある。アメリカは
「非常にあると思う」と「ややあると思う」と答えたものが合計で31.9%であった。「全
くないと思う」と答えたものは約6 割であり、最も多い回答となっている(内閣府,
2006)。
出典:少子化社会に関する国際意識調査報告書より筆者作成
図2 未婚のカップルが子どもを持つことへの社会的偏見
このように人口減少に関して、日本では外国と比べて結婚と出産が密接な関係にある
ことが特徴的である。結婚しないまま子どもを持つことに対して、多くの日本人が抵抗
感を示す。そのことが出生率が低くなっている要因である。さらに結婚しない者・でき
ない者の割合の増加(未婚化・非婚化)、結婚する時期が遅くなっている(晩婚化)・夫
婦が持つ子どもの数の減少につながっているという可能性も否定できない。
日本の合計特殊出生率は依然として人口置換水準1の2.07 を下回っており、総人口
は自然減少している(厚生労働省,2017)。さらに晩婚化・晩産化の進行により、日本
1人口置換水準とは、人口が将来にわたって増えも減りもしないで、親の世代と同数で置き換わるための大
きさを表す指標である。人口置き換え水準に見合う合計特殊出生率は、女性の死亡率等によって変動する
ので一概にはいえないが、日本における平成28 年の値は2.07 である。なお、人口置き換え水準は、国立
社会保障・人口問題研究所で算出している。
1.7
10.9
19.0
25.5
38.4
6.8
61.6
4.2
17.3
14.6
0 20 40 60 80 100
わからない
全くないと思う
どちらかというとないと思う
ややあると思う
非常にあると思う

アメリカ日本
5
の少子化は今後もさらに深刻になることが推測されている。
他方、男女共同参画の「男女共同参画と少子化対策は車の両輪」というテーマの下で
提出された女性の再チャレンジ支援(内閣府,2006)、また「男性の家事・育児参画」(内
閣府,2017)、「男女の働き方改革」(内閣府,2018)など政府の少子化対策が進められて
きた。どうやら日本社会では少子化の解決にあたって「男性・女性」というジェンダー
に注目しているようである。ではなぜこのように少子化対策とジェンダーを関連させ、
因果論としてジェンダー問題を取り上げるのだろうか。そして、このような「少子化対
策とジェンダー」に注目する背後にはいかなる社会構造があるのだろうか。以上の関心
から、本研究では1990 年代の朝日新聞記事に対して言説分析を行い、1990 年代の日本
社会構造の一側面を明らかにしていきたい。
1-2.日本の晩婚化状況
日本の晩婚化状況を把握するのに先だち、婚姻状況を概観しておきたい。2015 年の
総務省「国勢調査」によると、25~29 歳の未婚率は男女ともに上昇している(図3 と図
4 を参照)。男性では、30~34 歳で47.1%、35~39 歳で35%となっている。女性では、
30~34 歳で34.5%、35~39 歳で23.1%となっている。1960 年から1975 年まで男性の
未婚率は微増するが、女性の未婚率は小さい幅で上昇と下降を繰り返していた。1975 年
からはすべての年齢段階で急激に上昇した。上昇の勢いは2010 年まで続いた。2010 年
から2015 年時点までは男女とも25~29 歳の未婚率が上昇し続け、30 歳~39 歳の未婚
率は下がっている。

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作者: 中国论文网

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