研究計画書
研究テーマ:
ERPに基づく発達性読字障害児の聴覚認知に関する考察
―中国語の読字障害を中心に―
研究背景:
発達性読字障害は発達性読み書き障害、読み障害ともいい、International Dyslexia Associationによると、神経生物学的な原因に起因する特異的学習障害であり,正確かつ/または流暢な単語認識の障害と,綴りやデコーディングの能力が劣っているという特徴をもつ[1]。
発達性読字障害の原因についていくつかの仮説があり、今まだ定説がない。しかし、近年、音韻処理障害仮説が有力であるようである。その仮説では、中枢神経系の機能障害(生物学レベルでの障害)により、音韻(物理的な音ではなく、言語音)の処理能力が低下する(認知レベルでの障害)ことにより、読み能力、主要には単語の正確で流暢な読みが阻害され、また綴りが正確に覚えられないといった問題が生じる(行動レベルでの障害)というメカニズムを想定する[2]。
この音韻処理障害仮説に類似したものとして、低レベルでの聴覚処理の問題を挙げる一連の研究がある。原島恒夫の「読み障害における中枢聴覚処理障害仮説」がそのひとつである。この仮説では、問題は言語音に限らない音の微細な処理能力の障害にあると考える。具体的には、高さの異なる2 つの音を短い呈示時間(Tallalでは75ms )、短い刺激間間隔(8〜305ms )で呈示し、呈示された順番を尋ねる。読み障害の子ども達は短い刺激間間隔の成績が悪く、そうした短い時間間隔における系列的な処理に問題があると考えるのである[3]。
そして、関連研究によると、発達性読字障害の出現率には言語による違いがあり、子供が読みを取得する難しさも言語によって異なる。英語圏、日本語の発達性読字障害が盛んに行われているが、中国語にかかわるものはそんなに多くないのである。
したがって、本研究は聴覚認知の角度から、中国語の発達性読字障害について考察したい。
研究意義と目的:
本研究はERPに基づいて中国語の発達性読字障害児と健康な子が聴覚認知での相違点を解明したくて、発達性読字障害児の聴覚認知の特徴を解析して、その診断、指導と治療に認知心理学的な根拠を提供してみたい。
現在、先行研究への考察によって、中国では聴覚認知の視点から発達性読字障害を考察する研究がまだ少ないようである。本研究はその補充になれば幸いだと思う。
研究内容:
一、 発達性読字障害と聴覚認知との関係
英語などの表音文字と違って中国語は典型的な表意文字である。それで、中国語の発達性読字障害は聴覚認知障害と関係があると思われる。本研究は発達性読字障害にかかわる聴覚処理仮説や音韻処理障害仮説の先行研究を収集して、考察する。
二、実験
本研究はERPに基づく実験を設定して、データを収集して分析する。同じ音刺激について、発達性読字障害児と健康な子との聴覚ERPデータの相違を解明する。
三、 仮説の検証
上記のデータを踏まえて、発達性読字障害児の聴覚認知上の特徴を解析してみる。本実験で得られた聴覚ERPデータは英語、日本語などの関連研究におけるデータと相違点があるかどうかを明らかにする。中国語発達性障害の診断、指導ないし治療に一定の示唆を与えたい。
[1] 迫野詩乃・伊藤友彦(2011)「我が国の読み障害研究における今後の課題-音韻に視点を当てた定型発達児の読み研究の必要性」『東京学芸大学紀要』62 P13-21
[2] 高橋登(2005)「読み障害とは何なのか-言語による違いとその原因-」『特殊教育学研究』43(3)P233-240
[3]高橋登(2005)「読み障害とは何なのか-言語による違いとその原因-」『特殊教育学研究』43(3)P233-240
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